産休・育休中は『無給』だから次の育休に効く|出産手当金は賃金じゃない
「産休・育休で働いていなかった期間は、次の育休手当の計算でマイナスになるのでは」。逆です。産前産後休業は通常無給なので、その期間が次の受給要件をむしろ救うことがあります。働いていなかったことが、ここでは味方になります。
カギは、産休・育休が「賃金の支払いを受けられなかった休業」に当たる点です。育児休業給付金は、育休開始前の2年間に「賃金支払基礎日数11日以上の月」が12か月以上あるかで判定しますが厚労省パンフ2025改訂版 p.10、無給の休業が続いた期間は、この2年間を後ろに延ばす材料になります。
無給の休業は、判定対象の2年間に「足せる」
受給要件の判定対象は、原則として育休開始前の2年間です。この2年の中に「やむを得ない理由で引き続き30日以上、賃金の支払いを受けられなかった期間」があると、その日数を2年に加算できます業務取扱要領59523 ロ。加算できるのは最長2年なので、合計で最長4年までさかのぼれる計算です。
「やむを得ない理由」には出産がはっきり含まれ、労働基準法65条の産前産後休業もここに入ります業務取扱要領59523 ロ(事由:出産)。育児を理由とする休業も同様で、2人目の妊娠で1人目の育児休業が続いていたケースなども、賃金が支払われていなければ対象になります。産休・育休は通常無給なので、この緩和の対象になりやすいわけです。
出産手当金・育休手当を受け取っても、それは「賃金」ではない
ここでつまずきやすいのが、お金を受け取っていた点です。産休中は健康保険から出産手当金、育休中は雇用保険から育児休業給付金が出ることが多く、「収入があったなら無給ではないのでは」と考えてしまいます。
しかしこれらは会社が払う「賃金」ではありません。出産手当金は健康保険、育児休業給付金は雇用保険からの給付で、勤務の対価として支払われる賃金とは区別されます。判定上は休業そのものが無給かどうかを見るため、これらの給付を受け取っていても、会社からの賃金がなければ無給扱いで緩和の対象になり得ます。
逆に、賃金が支払われた休業は緩和の対象外です有給での休業は緩和対象外(業務取扱要領59523 ロ 注)。賃金の出る特別休暇や、産休に独自の有給を当てている会社の場合は、その分は加算されません。「給付か賃金か」で扱いが分かれる点は押さえておきたいところです。
30日に届かない休みは足せない
注意したいのは、連続して30日以上の無給休業でなければ加算されないことです。数日の欠勤や、賃金の出た休暇を挟んでこま切れになった休みは、この緩和には乗りません。産前産後休業は産前6週・産後8週とまとまった長さがあるので、たいていは30日の条件を超えますが、短い休みの寄せ集めでは延長にならない、と理解しておくのが正確です。
具体例|1人目の産休・育休で「2年」が延びる
イメージをつかむため、1人目の出産でしばらく休み、復職せずに2人目の育休に入る場合を考えます。1人目の産前産後休業と育児休業が無給で続き、その期間が合計1年あったとします。すると判定対象は通常の2年から、その1年ぶん後ろに延びて最長3年になります。1人目の休業に入る前まで遡って、賃金支払基礎日数11日以上の月を数え直せるわけです。
延長は無給休業の日数ぶんで、上限は2年(合計最長4年)です業務取扱要領59523 ロ。「育休が続いて2年の中に働いた月が足りない」と見えても、緩和を当てれば12か月に届くことがあります。延長の上限や仕組みは最長4年まで遡れる緩和の解説で詳しく扱っています。
あなたのケースで、何日延びるか確かめる
産休・育休が何日ぶん2年に加算されるか、その結果12か月に届くかは、休業の期間と賃金の有無で変わります。本サイトの判定ツールは、無給の休業期間を入れると連続30日以上のブロックを自動で集計し、判定対象期間を延ばしたうえで12か月に届くかを判定します。出産手当金や育休手当を受け取っていた期間も、賃金が出ていなければ無給として入れてみてください。
受給要件そのものの全体像は受給要件のまとめに、つわりや切迫早産での休職を緩和に使う話はつわり・切迫早産の休職と落とし穴にまとめています。実際に何日が加算されるかの最終判断は、給与明細や雇用保険の記録をもとにハローワークで確認してください。制度全体の公式案内は厚生労働省「育児休業等給付について」制度の公式案内にあります。
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