育休中のお金はいくら?給付金の計算と手取り【2026年版】
「育休の手当は給料の67%」と聞くと、手取りが6割台まで落ちる前提で家計を組んでしまいがちです。実際は違います。育児休業給付金は所得税がかからず、育休中は社会保険料も免除されるため、額面67%でも手取りベースでは休業前の約8割が残ります。両親で取れば、手取りが実質10割になる給付も2025年に新設されました。だから「いくらもらえるか」は、額面の支給率ではなく手取りで見たほうが実態に近づきます。
給付金の基本の計算式
育児休業給付金の月あたりの額は、次の式で決まります支給額の算定・厚労省「育児休業給付の内容と支給申請手続」2025改訂版。
休業開始時賃金日額 × 支給日数(ひと月=原則30日)× 67%
「休業開始時賃金日額」は、育休開始前6か月の賃金の総額を180で割った額です休業開始時賃金日額=開始前直近6か月の賃金総額÷180・厚労省リーフレット LL070801保04。ここで言う賃金にはボーナス(賞与)は含まれません。月々の給与だけが対象なので、賞与が多い人でも給付額は月給ベースで決まります。
支給率は最初の180日が67%、181日目以降は50%に下がります。日額に直近6か月の給与を使う関係で、結果としてひと月あたりの給付はおおむね「月給の67%(後半は50%)」に近い額になります。月給別の目安を早見表にすると次のとおりです。
| 月給(額面) | 休業開始時賃金日額 | 月あたり給付(67%) | 181日目以降(50%) |
|---|---|---|---|
| 20万円 | 約6,667円 | 約134,000円 | 約100,000円 |
| 30万円 | 約10,000円 | 約201,000円 | 約150,000円 |
| 40万円 | 約13,333円 | 約268,000円 | 約200,000円 |
| 50万円 | 上限16,110円 | 上限323,811円 | 上限241,650円 |
この表で月給50万円の行だけ頭打ちになっているのは、給付に上限があるためです。休業開始時賃金日額の上限は16,110円で、これを超える人は16,110円で計算します休業開始時賃金日額の上限は16,110円(2025年8月1日時点、毎年8月1日改定)・厚労省 LL070801保04 ※2。その結果、ひと月あたりの給付額の上限は67%期間で323,811円、50%期間で241,650円です令和7年8月1日改定の支給上限額・厚労省 LL070722保02。これらの上限・下限は毎年8月1日に改定されるため、年をまたぐと金額が変わる点には注意してください。なお実際の支給は育休開始日の応当日で区切る「支給単位期間」ごとに計算するため、各月の日数や端数で表の額から多少前後します。
額面67%でも手取りが約8割になる理由
額面の支給率は67%でも、手元に残る割合はそれより高くなります。理由は、通常の給与なら天引きされるものが、育児休業給付ではほとんど引かれないからです。
| 引かれるもの | 通常の給与 | 育児休業給付金 |
|---|---|---|
| 所得税 | 課される | 非課税(引かれない) |
| 社会保険料(健康保険・厚生年金) | 天引き | 免除(引かれない) |
| 雇用保険料 | 天引き | 賃金ゼロなら負担なし |
| 住民税 | 天引き | 前年所得分の課税は続く |
育児休業給付は所得税のかからない非課税の給付で、育休中は健康保険料・厚生年金保険料が免除され、給与が支払われなければ雇用保険料の負担もありません育休中は健保・厚年が免除、給与がなければ雇用保険料負担なし、育児休業給付は非課税・厚労省 LL070801保04 ※2。一方、働いていたときの給与からは所得税・住民税・社会保険料・雇用保険料が引かれていました。引かれる分がなくなるため、額面が休業前の67%でも、手取りどうしで比べると約8割が残る計算になります。
ただし住民税だけは例外です。住民税は前年の所得をもとに翌年度ぶんが課税される仕組みなので、育休に入った年も前年に働いていた分の住民税は払い続けます。給与天引きができなくなるぶん、納付書での支払いに切り替わることがある点は見落としやすいので注意してください。なお給付が非課税で所得に含まれないことは、配偶者の年末調整で配偶者控除などを判定するうえでもプラスに働きます。
受け取れる給付額は休業前の賃金で決まるので、まずは自分が受給要件を満たすかを確認しておくと安心です。要件の全体像は受給要件のまとめ、給付額の土台になる賃金の数え方は賃金支払基礎日数の数え方で整理しています。
両親で取ると手取り10割になる「出生後休業支援給付金」
2025年4月に新設された出生後休業支援給付金を使うと、手取りが実質10割になります出生後休業支援給付金は2025年4月創設・厚労省 LL070801保04。これは育児休業給付金の67%に、さらに13%を上乗せする給付です。合わせて給付率80%。先ほどの非課税・社会保険料免除の効果と重なることで、休業前の手取りとほぼ同じ額が残ります給付率80%+非課税・社保免除で手取り10割相当・厚労省 LL070801保04 ※2。
上乗せの対象になるのは、子の出生直後の最大28日分です。支給額は「休業開始時賃金日額 × 休業日数(28日が上限)× 13%」で計算し、上限額は58,640円です出生後休業支援給付金の支給額・28日上限・上限58,640円・厚労省 LL070722保02/LL070801保04。
受け取るには、本人と配偶者がそろって育休を取ることが原則の条件です。具体的には、対象期間に本人が産後パパ育休または育児休業を通算14日以上取り、配偶者も同じく通算14日以上の育休を取ることが求められます支給要件=本人14日以上+配偶者14日以上の育休取得・厚労省 LL070801保04。ひとり親の場合や、配偶者が育休を取れない(無職・自営業など)場合には、配偶者の育休を要件としない特例が用意されていますひとり親・配偶者が就労していない場合などは配偶者の育休を要件としない特例あり・厚労省 LL070801保04。
手取りを底上げする社会保険料免除の条件
手取りが額面より厚くなる最大の要因は、社会保険料の免除です。これは自動ではなく、勤務先を通じた申し出によって受けられます。免除されるのは、その月の末日に育休を取っている月、または同じ月の中で14日以上育休を取った月です育休開始日を含む月は、月末時点で育休中か、同月内に14日以上取得で当月保険料が免除・日本年金機構。本人負担分だけでなく会社負担分も免除され、免除されても年金額の計算上は保険料を納めた扱いになります。
賞与にかかる社会保険料は、別の条件です。賞与月の末日を含む連続した1か月を超えて育休を取った場合に限って免除されます賞与保険料は当該賞与月の末日を含む連続1か月超の育休取得で免除・日本年金機構。短期間の育休では賞与分は免除されないため、賞与月をまたいで取得を計画すると手取りの差が大きくなります。
自分の場合の金額を見積もる
ここまでの計算式は、いずれも「育児休業給付金を受け取れること」が前提です。受給には育休開始前2年間に賃金支払基礎日数11日以上の月が12か月以上必要で、ここを満たさないと金額の話にたどり着けません。転職や時短、欠勤が続いた時期があると、この12か月の判定はとたんに難しくなります。
本サイトの判定ツールは、月ごとの賃金支払い状況から受給要件を満たすかを自動で判定します。受け取れる見込みが立てば、あとはこの記事の計算式に休業前6か月の月給を当てはめれば、おおよその給付額が見えてきます。最終的な賃金日額や支給額の認定はハローワークが行うため、金額が家計に直結する場合は、給与明細を持って管轄のハローワークに確認すると確実です。制度全体の案内は厚生労働省「育児休業等給付について」制度の公式案内にまとまっています。
無料の判定ツール あなたの場合、もらえる?を確かめる 出産日と勤務状況を入れるだけ。ブラウザ内で完結・登録不要。 判定する →※ 本記事は参考情報です。個別の受給可否の最終判定は、管轄のハローワーク(公共職業安定所)で行われます。