育休中の社会保険料はどうなる?免除の条件としくみ【2026年版】
育休に入ると給料は止まるのに、社会保険料だけは毎月数万円が引かれ続ける——そう身構える人は多いですが、実際は違います。健康保険料も厚生年金保険料も、申請すれば育休中は全額免除されます。それも本人の負担分だけでなく、会社が払っている分まで。さらに、免除された期間は将来の年金額を計算するうえで「保険料を納めた期間」として扱われ、年金が減ることもありません。
何が免除されるのか
免除されるのは、健康保険料と厚生年金保険料です。育児休業の期間中、事業主が年金事務所に申し出ることで、被保険者本人の負担分と事業主の負担分の両方が免除されます育休中は健保・厚年の保険料が被保険者・事業主の双方とも免除・日本年金機構。給料から天引きされていた社会保険料がまるごとなくなるため、給付金が額面より厚く感じられる最大の理由がこれです。
免除されても、健康保険の被保険者であることは変わりません。保険証はそのまま使え、医療機関にかかったときの自己負担も通常どおりです。資格を維持したまま、負担だけが止まる仕組みです。
なお、出産する人の場合は、育休の前の産前産後休業の期間中も同じように健康保険料・厚生年金保険料が免除されます産前産後休業期間中も健保・厚年の保険料が免除・日本年金機構。産休から育休へと続けて休む場合は、その間ずっと社会保険料の負担がない状態が続きます。
将来の年金は減らない
免除と聞くと、「払っていない分、将来の年金が減るのでは」と不安になります。ここが大事な点ですが、育休中の免除では年金は減りません。免除された期間は、将来の年金額を計算するときに保険料を納めた期間として扱われるからです免除期間は将来の年金額計算で保険料を納めた期間として扱われ年金額は減らない・日本年金機構。
つまり、保険料の負担は止まるのに、年金の記録のうえでは納めたことになる。負担が軽くなるだけで、老後に受け取る年金には傷がつかない、という育児期間ならではの優遇です。育休をためらう理由として「年金が減るのが心配」を挙げる必要はありません。
月の保険料が免除される条件
毎月の保険料が免除されるかどうかは、その月の育休の取り方で決まります。基本は、その月の末日に育児休業を取っていれば、その月の保険料が免除されるという考え方です。加えて2022年10月からは、月末をまたいでいなくても、同じ月の中で14日以上育休を取れば、その月の保険料が免除されるようになりました月末時点で育休中、または同月内に14日以上の取得で当月保険料が免除・日本年金機構。
この条件は、短い育休を取るときに効いてきます。たとえば月の途中に10日だけ育休を取り、月末より前に復帰した場合、月末時点で育休中でもなく、同月14日にも届かないため、その月の保険料は免除されません。一方、同じ短期間でも月末をまたぐように取れば、14日に満たなくても免除されます。短く取るなら、月末を含めるかどうかで手取りが変わります。
| 取り方の例 | 月末時点 | 同月の取得日数 | その月の免除 |
|---|---|---|---|
| 月初から月末まで取得 | 育休中 | 14日以上 | 免除される |
| 月の途中から月末をまたいで取得 | 育休中 | 14日未満でも可 | 免除される |
| 月の途中に10日だけ取り月末前に復帰 | 復帰済み | 14日未満 | 免除されない |
夫婦で取る場合は、それぞれが自分の勤務先で申請します。どちらの保険料も同じ条件で判定されるため、二人とも月末を含めて取れば、二人分の社会保険料がそろって免除されます。
賞与の保険料は別のルール
賞与(ボーナス)から引かれる社会保険料は、毎月の保険料とは別の条件で判定されます。賞与の保険料が免除されるのは、その賞与が支給された月の末日を含んで、連続して1か月を超える育児休業を取った場合に限られます賞与保険料は賞与月の末日を含む連続1か月超の育休取得で免除・日本年金機構。
ここは取得の長さがそのまま結果を分けます。賞与月に2週間だけ育休を取っても、賞与の保険料は免除されません。免除を受けたいなら、賞与月の末日をまたいで1か月を超える育休を組む必要があります。賞与の社会保険料は金額が大きくなりがちなので、賞与月をまたいで取れるかどうかで、手取りの差はかなり大きくなります。
手続きは会社を通じて行う
社会保険料の免除は、自動では始まりません。事業主が「育児休業等取得者申出書」を日本年金機構(事務センターまたは管轄の年金事務所)に提出することで免除されます事業主が育児休業等取得者申出書を日本年金機構へ提出して申請・日本年金機構。手続きの主体は会社なので、本人がやることは、育休を取る旨と期間を勤務先に正しく伝えることです。
ここで実益があるのが、月末をまたぐかどうかや、賞与月をまたぐかどうかを、取得期間を決める段階で会社と相談しておくことです。同じ日数でも区切り方しだいで免除されるかが変わるため、申し出る前に確認しておくと取りこぼしを防げます。
手取り全体のなかで考える
社会保険料の免除は、育休中の手取りを底上げする要の一つです。給付金そのものが非課税であることや、給付率の計算と合わせて全体を見ると、額面67%の給付でも手取りでは休業前の約8割が残ります。免除が手取りにどう効くか、上限額を含めた金額の全体像は「育休中のお金はいくら?給付金の計算と手取り」で具体的に試算しています。
そして免除も給付も、出発点は育児休業給付金を受け取れることです。受給には育休開始前2年間に賃金支払基礎日数11日以上の月が12か月以上必要で、ここを満たすかどうかは受給要件のまとめで確認できます。本サイトの判定ツールを使えば、月ごとの賃金支払い状況からこの12か月要件を満たすかを自動で判定できます。社会保険料の免除や手続きの詳細は、日本年金機構「厚生年金保険料等の免除(産前産後休業・育児休業等期間)」保険料免除の公式案内・日本年金機構で確認できます。
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