育休もらえる?

転職しても前職の雇用保険は通算できる|「失業給付の手続き」でリセットされる落とし穴

公開 2026-06-08 ・ 更新 2026-06-11

転職して半年で妊娠が分かった。「今の会社での加入期間が短いから、育休手当は無理かも」——その心配は、前職の雇用保険期間を足せば消えるかもしれません。前職と現職の被保険者期間は、条件を満たせば通算でき、合わせて「12か月」を判定できます前職の被保険者期間も条件付きで通算される・業務取扱要領59523

ただし、転職の合間に一つ手続きをしていると、前職の期間がまるごとリセットされます。それが失業給付(基本手当)の受給資格決定です。ここを知らずに「念のため」とハローワークへ行くと、もらえたはずの育休手当を逃すことがあります。

前職と現職を足せる条件は、たった2つ

育児休業給付金の要件は、育休開始前の2年間に「賃金支払基礎日数11日以上の月」が12か月以上あること厚労省パンフ2025改訂版 p.10。この12か月は、必ずしも今の会社だけで満たす必要はありません。前職の期間も次の両方を満たせば通算できます前職通算の条件・厚労省「働く女性の心とからだの応援サイト」専門家回答

ひとつは、前職の離職日から1年以内に再就職していること。もうひとつは、前職の離職について失業給付(基本手当)の受給資格を決定していないことです。この2つさえクリアしていれば、前職で積み上げた月数に現職の月数を足して、12か月に届くかを見られます。

足し算のしかたにも決まりがあります。月の区切りは勤務先ごとに別々で、現職は育休開始日から、前職はその離職日から遡って1か月ずつ区切ります前職分は離職票の記載で確認するため申請時に前職の離職票原本が必要・東京ハローワーク記入見本【例3】。転職をまたいで1つの月を合成したり、2社の勤務日数を1つの月に合算したりはしません。そのかわり各期間の頭に残る1か月未満の半端が、端数月の0.5か月として数えられることがあります。離職翌日にすぐ再就職した場合でも、この数え方は同じです。区切りの仕組みは転職した人の完全月の数え方で図解しています。

「失業給付を受けると消える」の正しい意味

落とし穴は2つ目の条件にあります。よくある誤解は「失業給付を実際にもらわなければ大丈夫」というもの。正確には、受給資格を決定した時点で前職分はリセットされます受給資格を決定した時点で前職分はリセット・受給有無は問わない

受給資格の決定とは、離職票を持ってハローワークで失業給付の申請をし、受給資格者証が交付される手続きのことです。ここまで進むと、たとえ給付金を1円も受け取らないうちに再就職したとしても、その離職日以前の被保険者期間は通算の対象から外れます。「もらっていないからセーフ」ではなく、「手続きしたらアウト」と覚えておくのが安全です。

退職後に少し時間ができたからと軽い気持ちで申請に行く前に、近く育休を取る予定があるなら、前職の期間を残すか・失業給付を取るかを天秤にかけて判断してください。

1年を超えるとリセット、ブランクは空白でもOK

もうひとつの線引きが「1年以内の再就職」です。前職を辞めてから再就職までが1年を超えると、その時点で前職の期間は通算できなくなります。

ここで安心できるのは、間に無職の期間があっても構わないという点です。雇用保険に入っていなかった期間(無職や、短時間勤務で加入要件を満たさなかった期間)は、それ自体は被保険者期間として数えません。それでも、前職離職から1年以内に再就職し、その間に失業給付の受給資格を決定していなければ、空白を挟んだまま前職と現職を通算できます未加入の空白を挟んでも前職と通算可能

なお、無職の期間そのものは「賃金を受けられなかった期間」を救う受給要件の緩和の対象にはなりません。そのあたりの緩和の仕組みは「受給要件の緩和で最長4年まで遡れる」も合わせて確認してください。

3つのケースで見る、通算できる・できない

前職で10か月、現職で5か月の被保険者期間がある人を例に考えます。前職を辞めて2か月後に再就職し、その間ハローワークに行かなかった人は、10か月と5か月を足して15か月。12か月を超えるので要件を満たします。

同じ経歴でも、退職後に失業給付の申請をして受給資格者証が交付されていた場合は、前職の10か月が消え、現職の5か月だけ。これだけでは12か月に届きません。さらに、再就職までに1年3か月かかっていた人も、1年を超えているため前職分はリセットされ、現職の5か月のみで判定されます。

このように、経歴の長さが同じでも、合間の手続きと空白の長さで結果が分かれます。

自分の経歴で12か月に届くか確かめる

前職と現職、その間のブランクや失業給付の有無まで含めて手で追うのは大変です。本サイトの判定ツールは、複数の雇用保険加入期間を時系列に並べ、離職から再就職までの間隔と失業給付の受給資格決定の有無から通算できる範囲を判定し、通算後の期間で12か月に届くかを自動で計算します。前職を含めて入力し、失業給付を「申請した/していない」で結果がどう変わるかを試してみてください。

転職時の通算可否や失業給付の受給資格決定の有無は、最終的にはハローワークでの確認が確実です。判定に迷う材料がある場合は、離職票や雇用保険被保険者証を手元に、管轄のハローワークへ相談してください。受給要件の全体像は「育休手当の受給要件」にまとめています。制度全体の公式案内は厚生労働省「育児休業等給付について」制度の公式案内にあります。

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※ 本記事は参考情報です。個別の受給可否の最終判定は、管轄のハローワーク(公共職業安定所)で行われます。